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by greenagain2
| 2015-01-25 23:00
アンナが開けた扉の向こうは、暗闇の室内。
扉の傍に置かれていた燭台の蝋燭に火を灯したアンナは、 奥の別室へユリウスを導いた。 アンナが窓のカーテンを開けると、 薄日が室内に差し込んだ。 自分の母親はどこにいるのだろう? #
by greenagain2
| 2014-12-29 19:00
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by greenagain2
| 2014-12-23 22:00
傾斜のある狭い階段を下り、外へ出た。
人や馬や車などが行き交う石畳には、 擦り減り、まろやかな形となった石が多く見られた。 足元の黒いブーツから、 灰色の影が伸びていく。 それはまるで、 厚い雲の隙間から うっすらと顔を覗かせている太陽が (滑らないように気をつけて) と、注意を促しているようだった。 ユリウスは、 見つめても眩しくない太陽に向かって 「ありがとう」 と言い、微笑んだ。 (焼きたてのパンは手に入るだろうか? 黒パンと白パン、どちらも入手できると良いのだけれど。 アレクセイは黒パン好きだから・・・。 僕は、黒パンはあまり口に合わなかったけれど、 次第に好きになった。 アレクセイを囲む同志の人達や、 見知った人達から、いろんな食べ方を教えてもらったり、 大勢で賑やかに過ごすうちに好きになっていった。) 手に入るかもしれないものを求めて、 街を歩くことは、心躍ることだ。 そう結論づけたユリウスは、前を見つめて歩き始めた。 正午前、 冬の準備のために 大勢の人々が大通りを行き交っているのが 遠目に見えた。 落葉の時期は過ぎ、僅かな降雪は数度あった。 積雪は明日か、明後日か。 積雪とアレクセイの帰還、どちらが早い? ユリウスは再び、空を見上げた。 大きな雲が、昨日よりも速度を上げて流れている。 (多分、雪の方がアレクセイよりも早くやってくるだろうな。 黒パンが手に入らなくても怒らないでね、アレクセイ。) ユリウスは、雲に隠れつつある太陽を見つめた。 (大丈夫、アレクセイは怒らないよ。多分ね。) 太陽は優しく同意してくれたようだ。 (僕も君に会えて嬉しいよ。) 太陽に微笑み返したユリウスは、 大通り手前の裏通りへ向かった。 ☆web拍手 web拍手とは #
by greenagain2
| 2014-12-22 19:00
買ったものを書き出した紙片を
整理して改めて見返した。 購入総額が徐々に減っている。 「配給になる日はそう遠くない」 市場の店員や近所の人達が口々に言う。 窓に目を向けると 先程まで色の無かった空に、 かすかではあるけれど 薄日が差していた。 数字で溢れる紙片に添えた 自分の手元から、 弱弱しいものではあるけれど 確かな影が浮かび上がった。 (久しぶりの太陽だよ、アレクセイ) ユリウスは 不在の夫に心の中で話しかけた。 (今晩は 何を作ろうかな) ユリウスは扉をあけて 外へ出た。 ☆web拍手 web拍手とは #
by greenagain2
| 2014-12-21 22:00
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